この映画、観ました?#13「バロン」

    こんにちは。大石ちゃんこです。

    私は、ファンタジー作品が

    苦手で全然観ないのですが、

    今回は、そんな私でも大変楽しめた

    素晴らしいファンタジー映画を

    御紹介します。

     

    この映画、観ました?

     

    テリー・ギリアム監督       「バロン」


    ★★★★☆ 4点


    奇想天外なドイツ民話

    「ほら吹き男爵の冒険」を

    映像化した作品。

    中世のドイツで、

    少女にせがまれた男爵が、

    トルコ軍の占領下にある

    ドイツの町を救うため、

    不思議な力を持つ4人の仲間を捜しに

    手作り気球に乗って旅立ち…というお話です。

    監督は、イギリスの伝説的コメディ集団

    「モンティ・パイソン」の

    メンバーであるテリー・ギリアム。

    (私はモンティ・パイソンのファンで、

    大学の卒業論文のテーマにも

    させてもらいました。)

    パイソンズメンバーの

    エリック・アイドルも出演しています!

     

    テリー・ギリアムは、

    メンバーで唯一のアメリカ人だし、

    1人だけ出身大学も違うし、

    一番最後に加入したメンバーなのですが、

    あのメンバー達に受け入れられたって事は、

    優秀さはもちろんのこと、

    かなり魅力的な人物なんだろうと思います

    見かける写真も、どれも

    いたずらっ子のような顔をしていて、

    カワイイ大人だなあという印象。

     

    この映画は、あえてCGを使わず、

    美術セットで奇想天外な

    ファンタジー世界を表現しており、

    この手作りな世界観が、

    とってもステキでした。

    ただし、製作費はなんと

    約76億円もかかったそうですが…。

     

    ファンタジー作品なのに

    ブラックユーモアも散りばめられています。

    オープニングも、

    「理性の時代」と言ったそばから

    戦争真っ只中な映像で、

    ニヤリとさせられました。

    あと、なんといっても

    拷問パイプオルガン!

    オルガンの裏に

    囚人たちが詰められていて、

    オルガンを弾くと

    槍が動いて囚人たち突き刺し、

    曲に合わせて囚人たちが

    叫び声を出すという仕組みのやつです。

    ちょっとモンティ・パイソンも思い起こさせ、

    大好きなユーモアでした。


     

    理性的な“首から上”と、

    下品で強引な“首から下”の

    相性が悪いという、

    ロビン・ウィリアム演じる

    「万物の王」というキャラも、

    皮肉を効かせつつ

    ブッとんでいて面白いです。


     

    この作品は「脈絡が無さすぎる」

    というような批判も見かけますが、

    でも、空想や夢だったり

    頭の中って、そんなもんじゃないですか?

    だから、この作品に関しては、

    脈略なんて全く気になりません。

    バロンが言っているように、

    理屈や法則ばかり気にしていても

    しょうがないんです。

    もっと心を豊かにしなきゃ。

     

    不思議で楽しい冒険談を

    話してくれるバロンって、

    誰の心(頭)の中にも居て、

    だから、世界人口である

    70億パターンの冒険が

    存在するのではないか、と思います。

     

    ラストは、「門の外にはもうすでに

    争いなんて無いのに、

    こちらが勝手に門を閉じて、

    戦争中だと思い込んでいるだけ」

    というような、

    争いの絶えない世の中への

    メッセージのような気もしました。

     

    世界の全ての人が

    「幸せに暮らす才能」を開花させれば、

    素晴らしい世の中になるのでしょうね。

     

    ファンタジー作品が嫌いな人には

    『バロン』をオススメしてあげてください。

    拷問パイプオルガンに興味ある人にも。

    ぜひ!