この映画、観ました?#15「アダプテーション」

    こんにちは。大石ちゃんこです。

    今回は、天才だと思う脚本家と

    天才だと思う監督が

    強力なタッグを組んでいる、

    ひねくれ者にはグッとくる映画を御紹介。

     

    この映画、観ました?

     

    チャーリー・カウフマン脚本

    スパイク・ジョーンズ監督  「アダプテーション」


    ★★★★☆ 4点

     


    主人公は、脚本家のチャーリー・カウフマン。

    そうです、脚本家は自分が主人公の

    映画を書いたのです。

    チャーリーが、「蘭に魅せられた男」という

    ノンフィクション本の脚本を依頼されて

    苦悩する姿を、虚実入り乱れて描いています。

    チャーリーと双子の弟ドナルドの

    二役を演じているのは、

    ファンである私の友人いわく

    濡れた瞳が魅力的だというニコラス・ケイジ。

     

     

    スパイク・ジョーンズの初監督作品

    『マルコヴィッチの穴』でも

    チャーリーが脚本を書いていて、

    公開当時、高3だった私は映画館で

    こんな面白い話を思い付く人がいるのか!

    と大興奮したのを覚えています。

    その時、この脚本を書いた人の

    頭の中を見てみたいと切に思ったのですが、

    この『アダプテーション』では、

    それを少し覗けた気がして面白かったです。



    アダプテーションという言葉には、

    「適応」と「脚色」いう意味があります。

    チャーリーが、生物が適応しながら

    進化してきたことに思いを馳せたり、

    原作本の脚色に悩んだりと、

    本作はその両方の意味が描かれた映画。

     

    また、現実と虚構が複雑に交錯していたり、

    主人公が双子であったり、

    本の原作者である女性記者が

    夫と蘭コレクターの男との間で揺れたり、

    チャーリーとは正反対な

    王道スタイルな脚本家が登場したり…などと、

    2つの意味や役割みたいなものが出てくるのも、

    そういう事を反映しているのでしょうか。

     

     

    全ての生物は順応して変化していくことを

    繰り返して生きている、

    というチャーリーの考え方は

    大変興味深いです。

    この作品の6年後に彼が初監督をした

    映画『脳内ニューヨーク』にも通じていると思います。

    劇演出家が巨大なニューヨークのセットを建て

    自分の人生を俳優達に演じさせる中で、

    実際の人生の変化をどんどん反映させながら

    劇を作っていくので、俳優もセットも変化しながら

    何十年もリハーサルが続く…という作品で、

    こちらもとても衝撃的で面白い映画なので

    未見の方、オススメです。


     

    『アダプテーション』は

    コメディとしても素晴らしくて、

    笑える場面がたくさんありながらも

    人間の本質について考えられる、

    希少な映画だと思います。

     

    あと、脚本家が映画の撮影現場に顔を出すと

    自分のこと知らない人ばかりで気まずい、

    というのは、放送作家もちょっとそんな感じなので、

    わかるー!と思いました。

     

     

    最後の展開は、「適応」しているように見せて

    本当は全くしていなくて、

    とても皮肉じみており、

    こじらせまくっていて面白いです!

     

     

    素直にアダプテーション(=順応)ができない

    ちょっとダメな人や、こじらせてる人には

    刺さると思いますので、オススメです。

    ぜひ!