こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、喜劇に対する自分の原体験を思い出して胸が熱くなってしまう作品を御紹介。
この映画、観ました?
原作・脚本:三谷幸喜、監督:星護 「笑の大学」
★★★☆☆ 3.5点
<ストーリー>
昭和15年、演劇は規制され台本は検閲を受けていた。
ある日、情け容赦ない検閲官の向坂(役所広司)は、
劇団「笑の大学」の座付作家である椿(稲垣吾郎)を取り調べ始め・・・。
椿が何よりも大事な"笑い"のために闘う様子と、向坂が笑いや演劇の素晴らしさに出会う様子が、
コミカルで丁寧で感動的に描かれているステキな作品です。
私が演劇の面白さに目覚めたのも、三谷さんの作品でした。
小6のときにNHKで放送された東京サンシャインボーイズの『罠』という舞台を見たとき。
笑いまくったのを覚えています。
それまで、演劇って、
小学校で見せられるようなクソつまんないものしか知らなかったし、いわゆる演劇っぽい独特なしゃべり方の
イメージにも抵抗があったのですが、『罠』を見て、「こんな演劇もあるのか!お笑い以外にもこんな面白いものがあるのか!」
と、とても衝撃を受けました。
そして、高1の時に人生初の観劇として東京で三谷さんの『温水夫妻』を観て、生で喜劇を観る楽しさにハマったのでした。
笑ったことを忘れるのが勿体なくて、帰りの新幹線で面白かったシーンをチラシの裏に必死で書きとめたのを思い出します。
(先日、実家でそのメモが出てきて感慨深かったです。)
『笑の大学』では、今まで一度も笑った事のない向坂が生まれて初めて劇場で喜劇を観て涙を流すシーンがあります。
それ観て、私も泣いてしまいました。
"笑い"を知り、心が豊かになる感覚、嫌なこと忘れられる感じ、その場にいるたくさんの人達と"笑い"を共有して一緒に笑う高揚感…など。
それらを改めて認識し、胸が熱くなりました。
検閲室で台本を見ながら椿と一緒に実際にセリフを言って動いたりするうちに、向坂が不覚にも楽しくなってきちゃう
シーンのカメラワークも、向坂の心情がすごく伝わってきて効果的でした。
動きのある撮り方をしてるのはそのシーンだけなので、目覚めちゃった感じが際立っています。
容赦ない台本直しに対する椿の姿勢も、かなりグッときます。
どんなに無茶なこと突きつけられても、それを逆手に取り、更に笑いを増やして面白い台本に仕上げてくる姿は、
フニャフニャした青年なのに、とても格好良いのです。
どんな物書きでも、自費出版などでない限りは何かしらの直しや規制や理不尽な注文はあるもんだと思います。
私はまだ底辺放送作家なのでレベルが全然違いますが、そういう注文を受けても、くさらず、椿のように更に面白くしてやろうという
気持ちでいなければいけないなと強く思いました。
"笑い"に限らず、音楽、美術、スポーツ、料理…などなど誰にでも自分の大好きなモノがあると思います。
この映画を観たら、そういう大好きなモノの魅力に目覚めたときの幸福感を思い出すでしょう。
もちろん、笑いもたくさん散りばめられています。
未見の方は、ぜひ!
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