こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、良い人でもなく粗暴でダメ人間な主人公なのに、思い出すとなぜか無性に
切なくて胸が締め付けられる気持ちになってしまう作品を御紹介。
この映画、観ました?
ポール・トーマス・アンダーソン監督 「ザ・マスター」
★★★★☆ 4点
<ストーリー>
戦争によるPTSDやアルコール中毒を抱える元兵士のフレディは、一般生活にうまく戻れず人生に悩んでいる中、
新興宗教の教祖・ドッドと出会う。
強烈に惹かれ合う2人の関係は、大きくなった教団にも影響してきて…。
「某有名な新興宗教がモデル」と聞いていたので、宗教の胡散臭さなどを描いた作品だと勘違いして、
下世話心を満開にして観に行ったのですが、そんな描写はあまりありませんでした…。
ただ、見終わると、そのガッカリ以上に、好きな映画だ!という気持ちの方が大きかった作品です。
とにかく、主演のホアキン・フェニックスの演技や見た目がかなり素晴らしいです!
俳優が演じているのではなく、本当にこういう人がいるんじゃないかと錯覚するようでした。
この作品の1年後、こちらも彼が主演の映画『her/世界でひとつの彼女』を観た際に、
あまりに雰囲気や演技が違いすぎた為「あれ?これってホアキン・フェニックスだよな?えっ?てことは、ザ・マスターの主役の人は
ホアキンじゃなかったって事?私が勘違いしていたのか!?」と軽くパニックになったくらいです。
留置場でのフレディとドッドのシーンにも圧倒されました。
信仰というものの本当の姿を見たような気がします。
教祖であるドッド側も、ある意味、信者であるフレディに依存していたんですね。
でも、フレディは徐々に違和感を覚えていきます。ドッドにのめりこむ事で心が落ち着いていたけど、
だからこそ冷静に物事を考えられるようになり、それ故にドッドから心が離れていく…
というのが皮肉でした。
その後、砂漠に行き、バイクで見えない所まで走ってまた戻ってくるという修行をしていた最中に、
フレディが突然そのまま去って行ってしまったシーンは秀逸でした。
別れのシーンをああいう風に描く監督のセンスはステキです。
ドッドの元を去った後、戦争前に結婚の約束をした女の子の家に行くのですが、彼女は別の人と結婚していました。
でもそれを知った時のフレディは、以前との彼とは少し変わったなと思えるような対応をします。
常に不安定だった彼の人生にとって、ドッドとの出会いや一緒に過ごした時間がいかに意味があったのかを
感じることができました。
世の中に溶け込めず不器用に生きている彼のその姿は、スクリーンの中に入って抱きしめたくなってしまいました。
いま日本では安全保障関連法案が問題になっています。
簡単に反対/賛成だと言ってはいけない問題ではありますが、もし戦争が起きた場合、フレディのような人がたくさん生まれてしまう
可能性があるんだな…と思いました。
もしかしたら、そういう目線で考えることも必要なのかもしれません。
話が逸れてしまいましたが、とにかくホアキンの演技のすごさ、
確認してみてください。
ぜひ!!
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