こんにちは、大石ちゃんこです。
今回は、映画の中の浅野忠信を大嫌いになる作品を御紹介。
とにかく演技がスゴいのです。
これを見ずに浅野さんを評価することはできないと思います。
この映画、観ました?
相米慎二監督 「風花 kaza-hana」
★★★☆☆ 3.5
万引き事件を起こして謹慎中のキャリア官僚(浅野忠信)と、娘を故郷に預けて働く風俗嬢(小泉今日子)。
偶然出会った2人が、なりゆきで彼女の故郷・北海道へ向かうことになる切ないロードムービー。
相米監督の遺作でもあります。
冒頭で書いたように、浅野忠信さんの演技がすごいです。
台詞まわしや動きも、顔つきすら別人になっています。すっごい嫌な奴の顔を再現しているんです。
浅野さん目当てで観に行った映画でしたが、見ているとまじでムカついてきて、こいつ嫌いだわー、と心底思いました。
しばらくは「無愛想だけど憎めない」みたいな感じもなく、生理的にムカつくんです。
しかも、(現在はわかりませんが)撮影当時は浅野さんはお酒が飲めなかったのにあの酔っ払いの演技が出来るって、
観察眼と再現力が高すぎます!
それまでも浅野ファンでしたが、『風花』を観てさらに好きになりました。
小泉今日子さんは、現在ではもう女優というイメージが強いですが、パンフレットを読み返してみると、
当時(2001年公開)はまだ世間的にも「キョンキョン」というイメージが強かったのを思い出しました。
でも、風花のように儚く生きている女性をとてもステキに演じている今作では、「女優」以外の何者でもなくて、
きっと小泉さんのキャリアの中でも特筆すべき作品なのではないかと思います。
ラストの展開は、当初の予定とは違うものになったとのこと。
監督は撮影の中盤から主演の2人に「おい、ラストはどうするんだ?」と聞いていたそうです。
元々の予定にこだわらず、"二人が演じてきた"レモンと廉司にふさわしい結末というのを
模索しながら撮っていたんですかね。
映画って生き物なんだな、撮影前に頭の中だけで考えていた事をそのまま撮るだけじゃなくて、
描きたいテーマはそのままに、姿が変わっていくものなんだな、と初めて思いました。
積み上げてきたトークやノリやハプニング等によって現場で臨機応変に方向性が変わるバラエティ番組だけではなくて、
映画もある意味、手探りで作っているんですね。
あと、公開当時は存じ上げなかったのですが、音楽が大友良英さんでした。
小泉さんも出ていた「あまちゃん」の音楽を担当したあの大友さんです。
ちなみに大友さんが担当された浅野さん主演のNHKドラマ「ロング・グッドバイ」も、ピエール瀧さん主演の「64」も、
音楽がめちゃめちゃ格好良くて最高でした。『風花』ではエンディングで流れる音楽が
ものすごく絶妙で心に残るので、観て聴いていただきたいです。
あとは、2人が乗るレンタカーの色や、柄本明さんが劇中でやる座頭市のモノマネも必見です。
ぜひ!!
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