この映画、観ました?#33「わさお」

    こんにちは。大石ちゃんこです。


    たまには苦手なタイプの物も観てみようと思い、今回は私の大嫌いな「犬」の作品にしました。


    第14回みうらじゅん賞をとった、かなりスゴイ作品です。

     

    この映画、観ました?

     

    錦織良成 監督   「わさお」


    ★★☆☆☆ 2点

    「ブサかわ犬」として人気になった秋田犬が映画デビュー。


    ある日、犬好きのセツ子の元に白く長い毛の秋田犬が現れる。

    実はそれは、飼い犬のせいで母が事故に遭ってしまった少年・アキラが飼っていたシロで、

    東京から青森まで自力で移動してきて…という話。

    (※フィクションです)

     

     

    みうらじゅんさんが一時期(ある意味)大絶賛していた通り、つっこみたい事だらけのなかなかの作品でした。


    エンドロールが流れたとき、「最後まで観れたぞ!」という達成感で少しハイになった程。

     

    私は犬が大嫌いです。


    例えば道で前から犬の散歩をしている人が来たら、すれ違いを避けるため、遠回りになっても別の道へ進むか、

    反対側の歩道にわざわざ渡るかします。


    近づいたり触ったりするなんて考えられません。そんな私からすると、この作品を観ていて

    本気で腹が立つ事が多々ありました、

     

    まず、セツ子が飼い犬にリードをつながず散歩させている事。


    こういうのを見て真似するバカな飼い主が増えたら困るのです!

    そもそも、冒頭で起きる、アキラ君のお母さんがわさおを助けて車に轢かれてしまうという事故は、

    あの一家がわさおにリードをつけていなかった事が悪いんだと思うので、申し訳ないのですが

    私は悲しさより怒りが勝ってしまいました。


    あと、野良犬のわさおが普通に町を歩き回っているシーンなんて恐怖映像だし、

    食べ物を運んでいるであろうトラックの荷台に日常的に犬を何匹も乗せているのも不快です。

      

    まあでも、犬嫌いの私からしても、わさおが可愛かったのは確かです。


    わさおはタレント犬ではないので演技が全くできていませんが、それもなんだか許せるし、何とも言えない可愛い表情をするのです。


    他のタレント犬との演技力の差は歴然ですが、河瀬直美監督が好んで演技素人を主役に据えるような感じでしょうか。…違うか。

      

    そして、みうらじゅんさんも最大の見所だと仰っていた、わさおが熊と闘うシーン。

    これはもう、映画史上に残る名シーンです。


    作り物感プンプンで体全体は決して映らない熊からアキラ君を守るため、わさおが熊に立ち向かうのですが、

    まさかの、闘っているところが全く映らないのです!


    音だけで表現。衝撃的です。思わず「えっ!?」と声出ちゃいました。

    ほんと見どころです。

     

    あとは、観光紹介以外の目的がわからない、とってつけたようなトライアスロンのくだりや、

    過程が描かれないナギサ(犬)の死、なぜアキラ君&姉が母の手術に

    連れていってもらえないのかという疑問、あんなにわさおが見かけられてるのにアキラ君だけ気付かない不思議、

    まだ野良犬なのにお祭りでわさおを模した山車が存在する謎、感動の再会シーンでのアキラ君とわさおの

    温度差がありすぎる、など色々ありました。

     

    私が一番思ったのは、わさおと一番心のつながりが強いのって、アキラ君じゃなくて、あの無名役者さんが演じていて

    ほとんど出てこない、お母さんなんじゃないの?ってことです。

    なんか少年と犬のお話になっちゃってるけど、観終えてからその疑問で頭がいっぱいでした。

     

    でも、犬嫌いの私がわさおを可愛いと思ったことや、エンドロールの薬師丸ひろ子さんの歌で心が洗われること、

    好きな俳優である甲本雅裕さんのトライアスロン姿が見れたり、舞台となった白神山地の景色が素晴らしくて行きたくなったりと、

    “ある意味”ではなく純粋に良かった点もたくさんありました。

     

    犬が好きな人も嫌いな人も、ひねくれ目線の人も純粋な人も、観てみて達成感を味わいませんか?


    ぜひ!!