こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、センスと個性とオシャレさとステキなこだわりと内に秘めた確かな主張を感じられる、
人気監督の作品を御紹介。
この映画、観ました?
ウェス・アンダーソン監督 「グランド・ブダペスト・ホテル」
★★★★☆ 4点
1932年、優雅なグランド・ブダペスト・ホテルの名コンシェルジュ・グスタヴは
究極のおもてなし術で大勢の顧客から愛されていた。
ある日、常連客のマダムDが殺害され、彼女が彼に遺産を遺していた事から容疑者にされてしまい、
愛弟子のベルボーイ・ゼロと共に逃走しながら事件を解明しようとする話。
この監督の作品は、私はまだ『ムーンライズ・キングダム』と『ファンタスティックMr.FOX』と
今作の3つしか観たことがないので、ファンの方々には怒られるでしょうけど、とても好みです!
(この簡単な言葉で感想を言いたくはないのですが、)
とにかくオシャレで個性的なんです。
でも、決してただ洒落ているだけではありません。画作りのセンスが素晴らしくて、観る人を楽しませる為に
「時間や労力をかけてもこういう画を撮りたいんだ!」っていうこだわりがガンガン伝わってきます。
たとえもし言葉がわからず話を理解できなかったとしても、このステキな映像を観るだけで満足できるような、
そんなスペシャル感があるのです。
こんな作品を撮った監督に会ってみたい、会ったら絶対好きになっちゃうだろうな、と思わせられます。
たくさんの可愛くてたまらないモノ達、左右対称にこだわった画、グーンッと左右や上下に振るカメラの動き、
例えばロビーボーイの帽子に大きく「LOBBY BOY」って書いてあるようなチャーミングさ等々、なんていうか、
こういうセンスの大人がいるって事が嬉しくてキュンキュンしてしまう感じです。
そして、今作では、描いている3つの時代によってそれぞれ画面のサイズ(アスペクト比)を変えるという
画期的な手法を取っていて大変面白いです。
結構面倒な事でしょうに、こだわっていてステキですね。
また、今作では戦争や人間の醜さへの思いも描かれているのですが、そういったものを、
露骨に表現するのではなく可愛くてオシャレな世界観で覆っているのが、粋だし好感が持てるなあと思います。
ゼロと妻・アガサが、刑務所に入れられたグスタヴの脱獄の為に可愛いケーキの中に工具を隠して
差し入れするというシーンがあるのですが、この映画は正にそのケーキのようなイメージです。
それから、監督がインスパイアされた人物として映画の最後に名前が出てくるシュテファン・ツヴァイクという作家。
初めて映画館で観た時は全く知識がなかったのでその事に関して理解できなかったのですが、
その作家について知ってからもう一度観たら、作品に対して更に深みを感じる事ができました。
差別や戦争がなくなる平和な世界が戻ってくるのを信じていた彼が、グスタヴのモデルなのだそう。
おじいさんになったゼロがグスタヴとの過去を振り返って「彼が守ろうとしたものは当時すでに失われていたが、
彼は見事に幻を維持してみせた」と言うのですが、失われずに存在し続けるべきである生き方を、
監督は“映画”という物語で形に残したかったのでしょうか。
とはいえ、ツヴァイクという人の事を全く知らない状態で観た時でもかなり楽しめたので、予備知識とか面倒臭ければ
全然要らないとは思います。
あと、エンドロールの際に端っこでコサックダンスを踊るおじさんのアニメが出てきて、超かわいくて
思わず笑顔になってしまうので、そちらも絶対観てみてください。
ぜひ!!
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