こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、好きな監督の作品なのに私の苦手な「ファンタジー」や「アドベンチャー」であることから今まで敬遠していたものの、
観てみたらすごく気に入ってしまった作品を御紹介。
子ども向けかと思っていたら、どちらかというと大人向けな気がして驚いた作品でもあります。
この映画、観ました?
スパイク・ジョーンズ監督 「かいじゅうたちのいるところ」
★★★★☆ 4点
ママとケンカして家出をした9歳の少年マックスは航海の末に、かいじゅう達の住む不思議な島に辿り着く。
自分は王様だと名乗った彼は、かいじゅう達と暮らし始めるが…という話。
世界的ベストセラーの同名絵本の実写化。
お姉ちゃんは最近遊んでくれないしママも仕事と恋愛で忙しそうで、でもかまってほしくてたまらない様子のマックスが
いじらしくてものすごく可愛いです。
電話中のママの気をひくため変なロボットダンスをしたり、ママの足の指をいじくる様子とか
たまりませんでした。(同居人から「さすがショタコン」と言われましたが。)
皆で雪合戦して超楽しく遊んでたのに、雪の基地が壊されてしまった途端に泣いてしまうマックスのシーンには、共感して爆笑。
子どもが遊んでる時って、あーんなに楽しくて仕方なかったのに
たった一瞬にしてその世界が停止して地獄に落ちたみたいになる事がありますよね。
お笑いコンビ・サバンナさんの、友達同士でふざけていたら急に友達の手が目に当たって瞬時にテンションが下がる、
っていうネタを思い出しました。
マックスが出会うかいじゅう達はCGとかではなく着ぐるみなのですが、それがとっても好みでした。
手で作ってる感がすごく良いです!!!
そして、そのかいじゅう達の性格描写がとてもリアルで素晴らしいのです。
怖いだけとか、凶暴なだけとか、意外と心は優しいとか、臆病だとか、そういう単純な性格だけを役割として与えているのではなく、
機嫌が悪くて八つ当たりしたり、嫉妬したり、陰気だったり、かいじゅう間の気まずさや人間(かいじゅう)関係の難しさなども
描かれていて、面白かったです。
マックスとかいじゅう達の楽しい日々は、ある事をきっかけに破綻してしまいます。
その後、マックスがKWというメスのかいじゅうの
お腹の中に隠れるというシーンがあるのですが、あれは母親の胎内という隠喩なのでしょうか。
そして、KWのお腹から再び出てきたドロドロのマックスは、もう一度生まれ変わったという事なのですかね。
マックスの成長を匂わす印象的なシーンでした。
また、歯が抜けることを“絶望”として表現しているであろう複数のシーンも印象に残っています。
マックスがママに聞かせた自作物語に出てくる、歯が全て抜けて泣いてしまう吸血鬼。
キャロルが秘密のジオラマを見せながら歯がなくなっていく話を悲しそうにするシーン。
どちらのシーンでも歯が無くなる=絶望として出てきます。でも、誰もが子どもの時に一度歯が抜けるんですよね。
で、また生え変わる。それは成長なんです。
子どもの時に絶望を感じる事があるけれど、そこからまた成長していくんだ、ということのメタファーとして私は受け取り、感動しました。
わがままで気分屋で凶暴で幼稚なキャロルを端から見る事で、マックスは自分自身を省みることに。
そして自分の無力さや寂しさ、自分だけじゃなくて周りの皆もそれぞれ感情や事情や悩みがあって
精いっぱい生きてるんだって事に気付き、ある決意をします。
子ども・マックスの成長を
かいじゅうとの触れ合いを通して描いたとてもステキな作品でした。
昨日までの私のように、子ども向け作品のイメージが強くて敬遠している人がいたら、観てみてください。
ぜひ!!
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