この映画、観ました?#47
こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、「本編123分中、着衣シーンは18分」という謳い文句で話題になった、
劇団ポツドール・三浦大輔さんの4つ目の監督作品を御紹介。
この映画、観ました?
三浦大輔 監督 「愛の渦」
★★★☆☆ 3点
高級マンションの一室で開催される乱交パーティーに、ニートの男、フリーターの男、サラリーマン、女子大生、
保母、OL、常連客の女が参加。
カップルも途中参加し、様々な駆け引きが展開する中、ニートは女子大生に特別な感情を抱くようになり…という話。
主演は、若手俳優の中ではどう考えても群を抜いて演技の上手い池松壮亮さん。
私が初めて認識したのはドラマ『Q10』の久保くん役なのですが、他の出演者と比べて1人だけ
上手い子がいて驚いたのを覚えています。
本作では暗いニート役で、抑えた演技ながらもすごく雰囲気が出ていて素晴らしかったです。
門脇麦さんをはじめ女優さん達もかなり体当たりで、根性を感じました。
ただ門脇麦さんの激しい喘ぎ声の演技だけ、どうしても嘘くさい感じが強くて残念でした。
彼女が演じる女子大生の人物像の為には
かなり重要なシーンなので、もう少し頑張ってほしかったです。
セックスシーンが多いし、なんなら喘ぎ声がBGMになってるみたいなとこもあったりするのですが、
この作品が描いているのはエロではなく、性に奔放になるため集まった見知らぬ男女の人間模様です。
登場人物達のキャラや、会話、気持ちの行き違いなど、とても興味深く観られました。
会が始まったのに最初は女性だけで会話を始めちゃう感じ、そしてその会話が、心にもない褒め合い、
自虐風自慢、美容情報の交換など、クソどうでもいい内容であるっていうのがとてもリアル。
常連の女性客も、「ああいう女いるわ~」って感じです。すげー常連感を出してて、他の人を無視して店員とだけ仲良くする女。
世の中の各バーに1人はいますよね。
他にも、セックスしてさんざん自分を解放した直後なのにシャワー浴びて戻ってきたら
なんかリセットされちゃって微妙に会釈し合う感じとか、コミュ障かなと思ってた保母さんがスケベな話が始まったら途端に
生き生きし出す感じとかも笑えました。
ちなみに、「スケベ」って言葉が多用されていたけど、若い人はあまり使わないので「エロい」っていう言葉の方が
リアルかなとは思いました。
わざとかもしれないですけど。…まあ、どっちでも良いですね。
また、みんな身体はハダカなのに心はなかなかハダカになれない様子も面白かったです。
そして、ハダカだし匿名なのに、それでも出来る人間関係カースト。
一番見た目が可愛くて女の中ではカースト頂上にいたはずのOLが、ある事実によって急激に頂上から落ち、
本人も急に自信をなくしてしまう様は残酷でした。
彼女はたぶんセックスが絡まなければどこでもカースト上位なんでしょうけど、その残酷な事実は、それ程の威力があるもので、
乱交パーティーの場ならでは、という感じです。
最後に店員が常連女性の健気な話をして、彼女に少し同情心が芽生えたりしたのですが、その話はウソで、店員は
「ここにはそんな意味あり気でかっけーこと無いっすから。」と言い放ちます。
その直前に起きた、連絡先交換NGルールの中で偶然ニートが女子大生の携帯番号を手に入れた出来事に対して、
私はもしかしたら女子大生がわざと仕向けたのかな?
なんて勘繰っていたのですが、上記の店員の言葉によってそんな推測はぶち壊されました。
そして更に最後の喫茶店のシーンで追い討ちをかけられたのです。
でも、なんだか好きな終わり方でした。
乱交パーティーの5時間を経て「本当の自分」を把握した彼らの、とりあえずの、この日の結末。
どんな結末か確認してみてください。
あと、店員役の窪塚洋介さんを見て彼の魅力を久々に再確認しましたので、それも見所です。
観てみてください。ぜひ!!
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