こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、大好きなEテレのバリアフリー・バラエティ番組『バリバラ』の第1回“バリシネマ祭”(2013年9月放送)
で紹介されていて非常に興味をひかれた作品。
精神病患者たちの奮闘をコメディタッチで描いた、珍しくて面白くてステキなお話です。
この映画、観ました?
ジュリオ・マンフレドニア監督 「人生、ここにあり!」
★★★★☆ 4点
1983年のイタリア・ミラノ。
労働組合を追い出された熱血男ネッロは、バザリア法による精神病院の閉鎖で社会に出ることになった元患者たちの
協同組合に異動させられた。
彼は、個性的すぎる元患者たちに、補助業務ではなく普通の仕事でお金を稼ぐ事を持ちかけ、
彼らと一緒に床貼りの事業を興すが…というお話。
私はこの作品を観るまで知らなかったのですが、イタリアは世界で初めて精神科病院をなくした国なのだそうです。
その法律が、1978年に制定された「バザリア法」。
“自由こそ治療”ということで、精神科病院の新設、新規入院や再入院を禁止し、患者達を病院に閉じ込めるのをやめて
一般の社会で暮らせるようにしたものです。
イタリアは約40年も前にそんな革新的な法律を作っていたのかと大変驚きました。
でも、患者達が自由になるってことは、本人達も「責任」を持つということだと思います。
施しではなくちゃんとした給料をもらうんだから、仕事でミスは許されないし、犯罪を犯したらちゃんと罪に問われなければいけないし。
そして、遊びや恋愛も自由になる分、自分が傷付く事が起きる可能性も高くなります。
この作品では、キレイゴトだけではなくその辺りの難しいところも描かれていました。
また、ネッロの働きかけによって皆がせっかく労働意欲が湧いて仕事も順調になってきたのに、
薬の副作用のせいでやる気が出なくなったり大事な事を忘れやすくなったりする様子は切なかったです。
アーティスティックな床貼り職人として活躍し始めたルカの「薬に力を吸い取られる」という言葉には胸が痛くなりました。
でも、この作品はあくまでもコメディ。患者達の個性的な様子は面白くて笑えます。
恋人が100人いると言い張るミリアムとか、UFOから年金が支給されていると言い張るカルロとか、
事故が怖くて車の運転が必ず2速までのニキとか、虚言壁で調子の良い事ばかり喋りまくるファビオとか・・・色々。
大きな喜びを表現する時に必ず「エイドリアーン!!!」と叫ぶゴッフレードがツボでした。
「俺たちはバカじゃないんだ!クレイジーなだけだ!」というルカの言葉にもシビれました。
男性陣の性欲についてもちゃんと描かれていて、ECに補助金を出してもらい
皆で超緊張しながら娼婦の元へ行くのも笑えます。
帰りの車での皆のはしゃぎっぷりは必見です。
そして、何と言っても、精神病患者を演じる役者達の演技の上手さ!
かなりレベルが高くて、動きや表情などをそうとう研究したんだろうなと思います。もう、これだけでも必見の価値ありです。
後半に涙が出るほど悲しくて辛い出来事も起こり現実の厳しさを痛感させられるけど、
ネッロを含む皆でそれを乗り越え、希望を持てるような作品になっているので観てみてください。ぜひ!
ちなみに余談ですが、精神病を扱った作品ということで、卯月妙子さんの漫画『人間仮免中』はスゴかったです。
あと『こわれ者の祭典』という、自身の病を受け入れてうまく付き合っていこうと頑張ってる方々が開催しているイベントも
面白いのでオススメです。
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