こんにちは。大石ちゃんこです。
よくある映画の感想で「考えさせられた」っていうのがすごい嫌いなのですが、
今回は、本当に考えさせられまくって、鑑賞後、作り手から問いかけられた事で頭がいっぱいになってしまう作品を御紹介。
この映画、観ました?
マシュー・ライアン・ホーグ監督 「16歳の合衆国」
★★★★☆ 4点
16歳のリーランドはある日突然、
元恋人ベッキーの弟で知的障害を持つライアンを刺殺。
彼は逮捕され矯正施設へ収容されるが殺人の動機について何も語らない。
作家でもある教官パールは、彼の心を解明して本にしようと
野心を秘めつつカウンセリングを始めるが…というお話。
私にとっては、すごく難しい作品でした。
一つ一つのセリフやモノローグの言葉が哲学的だったり意味が深かったり
しまくるので、割とずっと色んな事を考えて観ないといけないのです。
言葉を全てメモしたくなるし、正直、観ててちょっと疲れるくらい。
DVDなので巻き戻せたから良かったものの、
映画館で一発勝負だったら
ついていけずキツかったと思います(笑)。
でも、この作品を観なければ一生触れることがなかっただろう
というような言葉や思想について考えられて、大変面白かったです。
観て良かったと思いました。
「もしかして“悪”は“善”を確認するためにあるのかも」とか、「神より悪魔のほうが納得がいく」とか、「世界の見方は2つある~
①悪い事があっても肯定的に見るか、
②現実をそのまま直視する」とか、主人公リーランドの名言が相当ありますよ。
この作品を観て考えてしまうのは、人はなぜ悪いことをするのか?
善悪とどうやって付き合って生きてけばいいの?
誰もが言い訳しながら大小問わず悪い事して生きてるのでは?
“悪”と“間違いを犯す事”は別物?・・・というようなこと。
自分自身の過去の行いや、考え方、逆に考えていなかった事、実はやってしまっている悪い事、
言い訳している事、などに思い当たってモヤモヤしてしまいました。
また、人間や物事の二面性についても考えさせられることに
なります。
何かを見ていて、片方の目を隠すと、右目と左目では見える像の
角度が違ったり、右目では見えていた部分が
左目では見えなくなったりしますよね。
作品内で、その両眼視差を表現したようなカットが
幾つかあり、とっても印象的でした。
作品には、守護天使と悪魔、善と悪、恋人と浮気相手、
2通りの世界の見方など、対になる2つのものが色々
出てきますが、何よりも、だんだんわかってくる、
リーランドが自分の中に全く正反対な性質を持っているという
二面性が衝撃的です。
それは、「一見普通に見える少年の中にとんでもない狂気が潜んでいた」・・・とか、そういうありきたりでわかりやすいモノでは
ありません。
それがわかった時は本当に複雑な気持ちになりました。
彼が殺人を犯した理由につながるその二面性を、ぜひ観て知っていただきたいです。
この作品は、明確な答えを提示してはいません。
リーランドという少年の例があって、彼はこういうことだったんだよ、で、あなたはどう考えるの?、
と作品側から尋ねられている気がします。
だから、慣れないながらも、とにかく自分なりに考えをめぐらせてしまうのです。
製作者の2人がインタビューで言っているように、本当に、観た後に能天気に食事の事なんて絶対に考えられないです。
未見の方は、観て、色々考えて、疲れてみてください。
ぜひ!!
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