バレットタイムという撮影技法を御存知でしょうか?
マシンガン撮影やタイムスライス撮影と呼ばれることもあります。
この技法を使った作品で最も象徴的なのは、1999年に公開された
映画「マトリックス」。主人公ネオがイナバウアーのように仰け反ったポーズで
銃弾を受ける有名なシーンがそうです。
他にも、バレットタイムは映画「ウォンテッド」や日本のドラマ&映画「SPEC」などで使われており、映像業界にとっては有名な技法となっています。
バレットタイムとは、被写体は時が止まって動きが固まっている(もしくはスローモーション)のに、カメラだけは被写体の周りを
高速または普通の速度で移動しているというもの。視聴する我々は、時が止まっている(もしくはスローモーションの)被写体の様子を
自分だけが通常世界のスピードのまま見ている、というような感覚を得られます。
バレットタイムの基本的な撮影方法は、まず被写体の周りを囲むようにたくさんのカメラを設置します。これらのカメラを連動させておき、一斉に被写体を撮影。そして各カメラが撮影した静止画を、見せたい位置のカメラから編集で順番につなぎ合わせるのです。
魅力的な演出を実現できるバレットタイムですが、欠点があります。それは、カメラを大量に用意しなければならず、非常に費用や労力がかかる技法であるということ。しかし、なんと最近では一般の方でも手軽にバレットタイムの撮影をすることが可能になったのです。
例えば今年の夏に発売された「Insta360 ONE」という小型カメラ。これは360度全天球の動画が撮れるカメラで、
しかも解像度は4Kです。
撮影方法は、カメラに紐や自撮り棒をつけて持ち、撮影者が自分の周りでカメラを振り回します。あとはスマホで専用アプリを使って編集。なんとカメラに取り付けた紐や自撮り棒も後から消せるのです。更に、手ぶれ補正機能や、映像の平行を保つためのジャイロ機能、
被写体が常に中心になるようにする機能も搭載されているので安心。簡単にバレットタイムを撮影できてしまいます。
今や、プロでもなかなか使う機会を得るのが大変だったバレットタイムという技法が、一般的にも身近なテクニックとなりました。
こうして映像に興味のある若者が気軽に触れていくことによって、バレットタイムが技法としてブラッシュアップされ、更に斬新な
撮影方法に生まれ変わる日が来るかもしれませんね。
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