スポーツ中継における最新の映像制作技術

    今年に入って、サウジアラビアで初めて女性のサッカー観戦が許可された事や、

    まだ女性が競技場で男性のスポーツを観戦する事が禁止されているイランで

    男装した女性による観戦が増えている事、などが話題になりました。

    スポーツ観戦はやはり多くの人にとって大事な楽しみなのですね。

    ところで、スポーツは、生で観るのも良いですがテレビで観るのも楽しいものです。スポーツ中継は常に進化しており、なんならテレビで見る方が楽しめるのかもしれません。

     

    例えばサッカー中継では、画面には映っていないプレイヤー達の位置や動きまで

    同時に表示されるという中継放送もあります。

    また、選手やボールの位置からボールの支配率や走行距離などのデータを即時に

    計算するシステムがあって解説に活かされたりもしています。

    更には、選手達の顔の向きまで検出して表示するシステムも開発されました。確かに、選手の目線がわかるって、真剣に試合を観ている人にとってかなり重要な要素ですよね。このシステムがすごいのは、固定の広角カメラで撮っている解像度が低い試合映像から、選手の顔の向きを検出していること。解像度が低くて顔の器官の位置を基準にできないため、選手の顔からの特徴量を使った機械学習によって、8方向の

    顔の向きを検出しているのです。

     

    また、野球中継で最近話題なのが「ZUNOさん」。ディープラーニングを活用した人工知能によるスポーツ解説システムで、まずは野球が

    題材に選ばれました。野球はワンプレーごとの結果や試合の状況を数字で定量的に表しやすく、データとの相性が良いのだそうです。

     

    ZUNOさんは300万球以上の打席データ(2004年から記録)を学習し、勝敗や配球や順位などを予測したり、様々なパターンや相関を見つけます。それにより、人間では難しい投球解析や傾向分析などが可能になり、野球中継での解説レベルが格段に上がるのです。

     

    昨秋の日本シリーズ第2戦・福岡ソフトバンクホークスvs横浜DeNAベイスターズでは、このZUNOさんと視聴者がライブで対決する

    「プロ野球!投球予測バトル」という企画も行われ、大変盛り上がりました。

     

    他にも、上空カメラの位置情報を使って中継映像と選手の立体映像を融合させるスパイダーバーチャルが昨夏のサッカー日本代表のW杯

    予選オーストラリア戦にて日本で初めて導入されたり、4方向から撮っている映像を視聴者が自由に切り替えられるサービスが開発中だったりなどなど、視聴者がスポーツ中継をより楽しむための技術がたくさん考えられています。

    試合そのものを楽しむのはもちろんのこと、スポーツ中継を覧る際はそんな最新の映像制作技術も存分に味わってみてください。