こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、公開中の映画をご紹介。
昔からコミュニケーション能力が人より低いことに悩んできた私には、他人事とは思えないような作品でした。
あとSF苦手でも楽しめました。
この映画、観ました?
テリー・ギリアム監督 「ゼロの未来」
★★★★☆ 4点
<ストーリー>
コンピューターで世界を制御するマンコム社のプログラマー・コーエンは、廃教会に住み、「人生の意味」を教えてくれる
1本の電話を待ちながら、謎めいた“ゼロの定理”を解析していた。
そして、魅力的な女性ベインズリーや天才少年ボブと出会ったことで彼の人生が動き出していき・・・。
コーエンが出社のために廃教会の扉を開けた瞬間、色、多すぎる情報、音、他者たちがバーッと飛びこんでくるシーンが
とても印象的でした。
外の世界ってイヤだよな、煩わしいよな、と思ったのですが、監督はそのシーンは東京の街をイメージしたとのこと。
私ってこんなとこに住んでいるのか・・・、
オエーって思ってしまいました。
外にはあんなに情報が溢れているのに、コーエンが唯一知りたい「人生の意味」については全然わからないのが皮肉です。
というか「人生の意味」というのは、待ちの姿勢で誰かに教えてもらうものじゃないんですね。
ましてや電話がかかってきて教えてもらえるもんでは絶対にない。
「人生の意味」に限らず、
本当なら自分自身で考え答えを出すべき事を、最近はすぐにインターネット等で他の人の力を借りて解決しようとする人が
増えていると思います。
そんなダメダメな現代人が風刺されているのかもしれません。
「人生の意味」を教えてくれる電話を待ち続けるコーエンと、いま私が読書中の貫井徳郎の小説『神のふたつの貌』の
未だ得られない福音を求めて生きる主人公が重なって見えて、興味深いです。
映画の世界観も素晴らしく、仕事で数式の解析をする際の、大量の数式や方程式がブロックになっていてそれらをゲームのように
組み立てていくというシステムが秀逸でした!
そして、涙が出てしまう映画のラスト。
あるシーンを見た瞬間、自然と
急に大粒の涙がブワッと出てきました。
一緒に観た人は、
悲しすぎて泣いてしまったのだそう。
でも私は、悲しさや切なさよりは「良かったな」という気持ちが大きかった気がします。
コーエンはいわゆる“あっち側”へ行っちゃったけど、彼が望んで飛び込んだのだし、彼はもう嫌な思いをして
傷つくことはないのかもしれない、って思ったら、悲しさよりも喜びの気持ちが上回ってしまったのです。
間違った感想なのかもしれませんが。
ラストに1つケチをつけるならば、私はCreepという曲を知らなかったので、歌詞の日本語訳を
最後まで付けてほしかったということ。
後で歌詞を調べてみたら、
「全ての歌詞が出てたら更にもっとグッときたはずなのに!」と思いました。
この作品は、少し難解な映画でした。
(ある意味ではわかりやすいとも言えますが)。
監督は、世の中の人達に
とにかく自分で考えてほしいのだと思います。
わからなくても良いから考える事が大事なんだ、と勝手に受け取りました。
私はいつ、完璧に理解できるのだろうか。数年おきに、その確認のためにこの作品を観るしかないなと思っています。
エンドロール後に、顔が監視カメラになっているキリスト像がこちらを向いているシーンになるのですが、
そのとき私は、ついつい自然にすごい顔でカメラを睨んでいました。
あなたもきっとそうなると思うので、観てみてください。ぜひ!
あと、「meaning of life」ってことでモンティ・パイソンの映画『人生狂騒曲』も観てみてください。
ぜひ!
でもテリー・ギリアムの作品を紹介しています。
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