この映画、観ました?#22「ゼロの未来」

    こんにちは。大石ちゃんこです。


    今回は、公開中の映画をご紹介。

    昔からコミュニケーション能力が人より低いことに悩んできた私には、他人事とは思えないような作品でした。

    あとSF苦手でも楽しめました。

     

    この映画、観ました?

     

    テリー・ギリアム監督  「ゼロの未来」


    ★★★★☆ 4点

    <ストーリー>


    コンピューターで世界を制御するマンコム社のプログラマー・コーエンは、廃教会に住み、「人生の意味」を教えてくれる

    1本の電話を待ちながら、謎めいた“ゼロの定理”を解析していた。


    そして、魅力的な女性ベインズリーや天才少年ボブと出会ったことで彼の人生が動き出していき・・・。

     

    コーエンが出社のために廃教会の扉を開けた瞬間、色、多すぎる情報、音、他者たちがバーッと飛びこんでくるシーンが

    とても印象的でした。


    外の世界ってイヤだよな、煩わしいよな、と思ったのですが、監督はそのシーンは東京の街をイメージしたとのこと。

    私ってこんなとこに住んでいるのか・・・、

    オエーって思ってしまいました。

     

    外にはあんなに情報が溢れているのに、コーエンが唯一知りたい「人生の意味」については全然わからないのが皮肉です。

     

    というか「人生の意味」というのは、待ちの姿勢で誰かに教えてもらうものじゃないんですね。

    ましてや電話がかかってきて教えてもらえるもんでは絶対にない。

     

    「人生の意味」に限らず、

     

    本当なら自分自身で考え答えを出すべき事を、最近はすぐにインターネット等で他の人の力を借りて解決しようとする人が

    増えていると思います。

     

    そんなダメダメな現代人が風刺されているのかもしれません。

     

    「人生の意味」を教えてくれる電話を待ち続けるコーエンと、いま私が読書中の貫井徳郎の小説『神のふたつの貌』の

    未だ得られない福音を求めて生きる主人公が重なって見えて、興味深いです。

     

    映画の世界観も素晴らしく、仕事で数式の解析をする際の、大量の数式や方程式がブロックになっていてそれらをゲームのように

    組み立てていくというシステムが秀逸でした!

     

    そして、涙が出てしまう映画のラスト。

     

    あるシーンを見た瞬間、自然と

    急に大粒の涙がブワッと出てきました。

     

    一緒に観た人は、

    悲しすぎて泣いてしまったのだそう。

     

    でも私は、悲しさや切なさよりは「良かったな」という気持ちが大きかった気がします。

    コーエンはいわゆる“あっち側”へ行っちゃったけど、彼が望んで飛び込んだのだし、彼はもう嫌な思いをして

    傷つくことはないのかもしれない、って思ったら、悲しさよりも喜びの気持ちが上回ってしまったのです。

     

    間違った感想なのかもしれませんが。

     

    ラストに1つケチをつけるならば、私はCreepという曲を知らなかったので、歌詞の日本語訳を

    最後まで付けてほしかったということ。

     

    後で歌詞を調べてみたら、

    「全ての歌詞が出てたら更にもっとグッときたはずなのに!」と思いました。

     

    この作品は、少し難解な映画でした。

    (ある意味ではわかりやすいとも言えますが)。

     

    監督は、世の中の人達に

    とにかく自分で考えてほしいのだと思います。

     

    わからなくても良いから考える事が大事なんだ、と勝手に受け取りました。

     

    私はいつ、完璧に理解できるのだろうか。数年おきに、その確認のためにこの作品を観るしかないなと思っています。

     

    エンドロール後に、顔が監視カメラになっているキリスト像がこちらを向いているシーンになるのですが、

    そのとき私は、ついつい自然にすごい顔でカメラを睨んでいました。

     

    あなたもきっとそうなると思うので、観てみてください。ぜひ!

     

    あと、「meaning of life」ってことでモンティ・パイソンの映画『人生狂騒曲』も観てみてください。

     

    ぜひ!

     

    ※ちなみに#13

     

    でもテリー・ギリアムの作品を紹介しています。