こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、言わずと知れた名作で、その高い評価をよく目にしてきたのに今まで観た事がなかった
1976年の作品を御紹介します。
この映画、観ました?
マーティン・スコセッシ監督 「タクシードライバー」
★★★☆☆ 3.5点
タクシードライバーとして働く孤独な男トラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)。
街への嫌悪感、女性への叶わぬ想いなどを胸に溜め込んで暮らしていた彼は、12歳の売春婦との出逢いをきっかけに
ある過激な計画を立て…という話。
観賞後に大興奮したほど面白かった映画『ナイトクローラー』のルーが、『タクシードライバー』の主人公の
再来だと言われているようなので、見てみることにしました。
非常に陰鬱な映画でした。
雨降りの日に見たので、更にどよーんとした気持ちになってしまいました。
冒頭でトラヴィスが海軍の帰還兵だと判明した時、戦争のせいで心が不安定になってしまった人を描いているのかなと思ったのですが、
最後まで観たら、そうではないとわかりました。
帰還兵だからああなのではなく、彼のような気持ちを抱えている人は世の中にたくさんいるんだと思います。
この作品は、観賞した時の自分のコンディション(仕事や人間関係がうまくいっているか等)によって、
のめりこみ度が相当違うのではないでしょうか。
出来れば、いつ観ても、作品やトラヴィスへの共感が薄い状態でいられたらいいのですが…。
生きている限り、そうはいかないんでしょうね。
「漠然とした毎日が長い鎖のように続いていく」という言葉も印象的でした。
すごく怖い響きです。
私はそういう毎日を過ごしたくないし、そのために、今、自分が子どもの頃から憧れていた職業に挑戦しているのかもしれません。
トラヴィスは不眠症です。
不眠症って、身体的にはもちろんのこと、現実逃避ができる「夢」が無い日々というのも相当辛いだろうなと思います。
大嫌いな世の中や、クズだと思っている人達が常に目に入ってしまうので。
毎日、目を瞑って眠れている事、一時的でも現実ではなく自分の頭が作り出す世界を体験できている事って、すごく大事なんですね。
この不気味なトラヴィスという男は一体何がしたいんだよ、と思いながら観ていると、開始57分頃、急に物語が動き出し
ゾクゾクするような期待感でいっぱいになります。
トラヴィスが部屋で武装して鏡の前で悦に入っている様子はかなり面白くて、特にカーテンレール(?)を使い
スリープガンを自作したシーンは笑ってしまいました。
曲がった正義感から、彼はある行動を
起こします。
(モヒカンヘアーで現れたのにはシビれました。
気合が入るヘアスタイルなのでしょうか??)
そしてその行動は意外な顛末を迎え、
自己顕示欲を満たした彼はまたタクシー
ドライバーとしてニューヨークを走り続ける
のです。
しかし、ラストの不穏な雰囲気や
意味ありげな音楽からは、
「こいつ絶対また何かやらかしそう…」
という印象を受け、
私達はこういう狂気と隣り合わせで暮らしているんだなと思わされました。
また、ロバート・デ・ニーロの表情が、笑っていても怒っていても真剣でも、なぜか不気味で素晴らしかったです。
終始とにかく心がザワザワさせられ
とても面白い作品でした。
名作と言われているのも大納得です。
色々うまくいってない時に観ると、けっこう危険かもしれませんが、なんとなく観るの後回しにしちゃっている未見の方、
すぐにでも観ていただきたいです。
ぜひ!!
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