こんにちは。大石ちゃんこです。
今回は、大好きな監督の映画監督デビュー作。
自分って、動物寄りの人間なのかな?人間寄りの動物なのかな?ていうか人間って何だろう?
というような事を考えてしまう作品です。
この映画、観ました?
ミシェル・ゴンドリー 監督 「ヒューマンネイチュア」
★★★☆☆ 3.5点
異常に毛深い女ライラと、ネズミにテーブルマナーを教える博士ネイサン。
2人は森で、自分を猿だと思い込んでいる男パフと出会い、彼を人間として再教育しようと連れ帰り…というお話。
脚本は、チャーリー・カウフマン。この人は本当に天才だなと思います。
今作も実に独創的で哲学的で、発想力とひねくれ具合に脱帽できる作品です。
自分だって人間なのに、こんなに人間というものを客観的に見られるなんて凄いです。
そして、彼のひねくれこじらせストーリーをミシェル・ゴンドリー監督がうまく映像化し、可愛気のある作品に仕上げています。
今作の登場人物は、親や教育者から植え付けられた価値観や、長年のコンプレックス、抑えきれない欲望、
などに悩み惑わされている人達。
そして、各人がその克服のために「自然」や「文明」を利用する姿が描かれています。
それぞれ自然なり文明なりが心から好きではあるけれど、本当の心の奥底ではちょっと不純に利用しているっていう、
その本質にまで言及していて素晴らしいと思いました。
そしてコメディとしても良作です。
ライラの何とも言えないカラ元気な表情や仕草がツボでした。ネイサンが研究としてネズミに
テーブルマナーを教えているシーンも、面白いし可愛いし、監督らしくて好きです。
また、類人猿として野生で生きてきた人が調教されて教養を身に付けていく姿の滑稽さや、
逆に普通の人間が野生人のマネをする滑稽さが皮肉的に描かれているのも好きでした。
調教済のパフの、野性味と礼儀正しさが同居している様子も興味深く、檻から出してもらってライラとハグしながら
こみ上げる性欲が抑えられずに思わず腰を振ってしまい、その直後に超紳士的に謝るシーンはとても面白かったです。
ネイサンはパフに、言語はもちろん様々な場面でのマナーを調教していくのですが、それは、研究室の檻の中で、
オペラ観劇の際の反応の仕方や料理やワインの感想などのテンプレを覚えさせているだけです。
でも実際の人間って、同じものを見たり味わったりしてもどんな感想を抱くかは人それぞれですよね。
あるものに対して、何を思おうと、どんな反応をしようと、それを好こうが嫌おうが自由なはず。
テンプレを教え込むだなんて本当に無意味で愚かだと思いました。
ただし、作品のラストは、自然が一番!自然は素晴らしい!パフは自然に帰る方が幸せ!
みたいな単純で気持ちの悪いオチになっていなくて、とても気に入りました。
自然から都会に連れてこられて一度は文明に触れた野性男を、よかれと思って自然に戻してあげても、
それはこっちの勝手な判断だし、どっちが正しいとかじゃないし、当人がいろいろ感じて決めること。
自然が一番良いって思ったなら思った人がそうすればいいだけのことで、他の人を導くなんておかしいんです。
ラストのパフの行動には思わず笑ってしまいました。ぜひ最後まで観て確認してみてください。
あと、私はティム・ロビンスの顔がとっても好きなので、そういう点でも楽しめました。
ちなみに同じ系統でコリン・ファースの顔も大好きです。
…というのはどうでもいいですが、とにかく、ミシェル・ゴンドリー監督でも
「エターナル・サンシャイン」や「恋愛睡眠のすすめ」のような作品とは
また全然違う雰囲気の作品なので、未見でしたら一度観てみてください。ぜひ!!
#20でも同監督の作品について書いてますので、そちらもぜひ。
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