4D映画
4D 映像制作
先日発表されたアメリカ映画協会(MPAA)の2014年映画消費動向の調査結果に、
あるブームが明確に去ったことが
示されました。
3D映画ブームの終焉です。
調査によると、2010年には観客の52%が、
3D映画を少なくとも一作品は鑑賞して
いました。
ところが2014年は、過去最高となる
47作品の3D映画が劇場公開されたのにも
かかわらず、3D映画を鑑賞した観客は27%にとどまっています。
2009年公開の映画『アバター』によってもたらされた3D映画ブームは、実は3D映像の
ブームとしては第三次に当たります。
最新技術に思われがちな3D映像ですが、
登場したのは意外にも古く、なんと100年前の1915年には赤青のメガネを装着する
アナグリフ方式で上映されたことが記録されているのです。
過去に3D映画がブームとなったのは、
1950年代と1980年代の2回。
第一次はテレビの普及に伴う観客減少の
打開策として、第二次は撮影方法の進歩によって起こりました。
しかし、いずれのブームも作品のクオリティの低さが一因で終焉してしまいます。
今回の第三次3D映画ブームは、クオリティという点はクリアされていましたが、
やはり観客は減り、終焉が叫ばれています。
ただ、今回のブームが過去の2回と違うのは、映画界がデジタル化されたという決定的な環境の
違いもありますが、「4D」という新たな展開が生まれたことです。
4Dとは、体験型3Dのこと。
映画のシーンに合わせて、客席が動き、風、ミスト、香り、ストロボ、煙や振動など特殊効果が
体感できるシステムです。
しかし、全国でもまだまだ4Dを体験できる施設は多くありません。
今まではアミューズメントパークでしか体験できなかった
4Dを、映画館で気軽に味わうことが
できるようになれば、映画の表現は広がり、
新たな映画ファンを獲得できるかもしれません。
ちなみに、体験型映画ということでは、過去にウィリアム・キャッスル監督(1914-1977)という先駆者がいます。
彼は、微電流が流れる装置や、モーターで振動する装置を
客席に仕掛け、シーンに合わせてスイッチを入れて
大いに観客を仰天させていたそうです。
彼が4D映画を作ったらどんな作品になるのでしょうか。
映画は、3Dから更に、観客の五感に訴える4Dにまで進化しました。
この進化は、映画を「観るモノ」から「体験する」モノに再定義する大きな
分岐点となるのかもしれません。