YouTube広告の効果とは?メリットとデメリットを解説
YouTubeに表示する広告って効果あるの? 再生前に出る広告って逆効果になったりしない? など、どんどん進化するYouTube広告について疑問はつきものです。
ここでは、YouTube広告の種類と効果、成功事例について紹介します。
1. YouTube広告とは?
YouTubeには「TrueView」という広告があり、動画の視聴前に流せる動画広告、YouTubeページ上に表示できる広告の2種類があります。
広告はパソコン、モバイル(スマホ、タブレット)ともに表示されます。
1-1. TrueViewインストリーム広告
TrueViewインストリーム広告は、動画の視聴前に流せる動画広告です。その特徴は3つあります。
- 冒頭の5秒間はかならず表示→その後ユーザーがスキップ可能
- 5秒後にスキップできない設定も企業側で可能
- 30秒以上視聴orリンクをクリックされると料金発生・視聴回数が+1回(30秒未満の動画は最後までの視聴で発生)
◇標準インストリーム広告(TrueViewインストリーム広告の前身)
- 最大15~20秒までのスキップできない広告
- 最後まで動画を見てもらえる反面、スキップできないため動画を閉じて離脱などの可能性もある
1-2. TrueViewインディスプレイ広告
動画の再生ページ上やYouTube検索結果などに表示される広告です。
- ユーザーが見ているコンテンツと関連性の高い広告を表示
- サムネイル画像・最大3行の広告文を表示
- クリックすると動画再生ページやチャンネルへのリンクが表示される
- クリック再生されると料金発生
2. YouTube広告のメリット・デメリット
2-1. YouTube広告の効果・メリット
◇費用対効果が高い
インストリーム広告はスキップされれば料金は発生しないので、興味をもつユーザーにのみ動画を届けられます。
◇ターゲットを絞って配信できる(セグメント機能)
[地域・性別・年齢・好み・キーワード・時間帯・曜日]などを設定できるので、潜在顧客層に絞って配信でき、より効果を出しやすいです。
[ターゲティング例]
若者向けレディスファッションのショッピングサイトの場合
→20代女性のみに配信
◇興味をもつユーザーを自社サイトへ直接誘導できる
動画内にサイトへのリンク(CTAボタンなど)を表示でき、ユーザーが商品サイトなどにすぐアクセスできます。テレビCMなどとちがい、視聴者の行動を促しやすいです。
◇スキップまでの数秒はかならず見てもらえる
テレビのようにCM中はチャンネルを変えたり、録画で早送りされたりすることがありません。
◇興味をもつユーザーを追跡できる(リマーケティング)
YouTube広告はGoogle AdWordsと連携しているため、より効果の高いユーザーへ配信ができます。
[リマーケティング例]
- 購入したことのあるユーザーへ、リピート購入のための広告配信をする
- まだ購入したことのないユーザーにのみ広告配信する
◇圧倒的に多いユーザー数
YouTubeの視聴者は世界中におり、その数は増え続けています。最近はスマートフォンでの視聴者が伸びてきています。
また、インターネット動画は「10~20代の若年層、特に男性」が多く見ているという結果がでています。
◇「YouTubeはテレビよりも80%以上の広告効果あり」とGoogleが発表
Googleは2016年4月、上記のようなレポートを発表しています。これは欧州8か国56の事例から出た結果で、「広告主は現在の6倍の予算をYouTubeへの広告出稿に回すべき」、2015年には「若者へリーチするには、テレビへの広告予算の24%をYouTube広告にシフトすべき」と言っています。
ただ、これは「YouTubeとテレビの争いではなく、広告主がどこに予算をかけるべきか知るために役立つこと」としています。
◇テレビCM×インストリーム動画広告で興味度がアップ
大手広告代理店の博報堂はこんな調査結果を発表しています。
- テレビCMとインストリーム動画広告をかけ合わせることで、ターゲットリーチ(興味を持ちそうな人を絞り込むこと)効率が向上する
- テレビCMとインストリーム動画広告どちらも見たとき、テレビCMのみを見たときに比べ、「広告認知率や商品への興味」が高くなる
動画はスマホでも見られるため場所や時間に縛られず、どこでも見られるところがメリットです。
2-2. YouTube広告のデメリット・注意点
◇注力して作った動画を見てもらえない可能性
インストリーム広告は5秒後にスキップできるので、最初の5秒で興味をひく動画にしないと、そもそも動画を見てもらえません。そのため動画制作に時間と費用が予想より多くかかる可能性があります。
◇逆効果になる恐れ
目当ての動画を見る前に強制的に再生される動画広告は、ターゲット選定のズレや動画内容によっては不快感をもたれ、商品・企業のイメージダウンにつながる恐れがあります。
スキップできないストレスからいちどマイナスイメージを持たれると、回復は簡単ではありません。慎重に検討してから配信する必要があります。
また配信対象を広げすぎると、費用が高くなる可能性があります。
◇審査に時間がかかる場合がある
3. YouTube広告の効果を測定するツール・サービス
動画広告は配信するだけでなく測定をすることで、より効果をアップさせることが重要です。YouTube広告では次のようなデータの確認ができます。
- インプレッション数(表示回数)
- クリック率(広告表示回数のうち、クリックされた数の割合)
- コンバージョン率(購入など、設定した目標に達した率。成約率:CVR)
さらに、その他つぎのような効果測定サービスがあります。
3-1. YouTubeアナリティクス
YouTubeの無料分析ツールです。「誰が・どこから・どのくらい」広告を見ているのか?を分析することで、広告の効果や改善点がわかります。
◇再生回数
・日付ごとにグラフで確認
・YouTube上のTrueView広告と、外部サイトに埋め込まれた場合の再生回数もカウント可能
動画が見られやすい日をチェックし、もっと配信すべき日や反対に抑えるべき日がわかります。
◇視聴者維持率
・動画がどこまで見られ、どのタイミングで離脱したかを確認
ユーザーがどこで動画から離れたのがわかり、離脱タイミングの工夫や、離脱が多くなる前にいちばん伝えたいことを伝えるなどの改善ができます。
◇ユーザー層
・年齢、性別ごとの構成を確認
ターゲットにしているユーザー層の視聴数が少ない場合、動画内容やキーワード・カテゴリを変更するなどの改善が必要です。
◇再生場所
・ユーザーがどこで動画を見たか(YouTube動画再生ページ、他サイトの埋め込みなど)を確認
◇トラフィックソース
・ユーザーが動画をどこから見つけて再生したのか
・YouTube検索やGoogle検索からの流入数・検索ワードを確認
流入元を知り、ターゲティングなどに役立てられます。
◇端末
・パソコンやスマホなど、ユーザーの再生環境を端末ごとに確認
端末に合わせた動画制作がわかります。
3-2. Googleアナリティクス
自動タグを設定することで、Webサイトクリック数や動画再生時間の割合などの正確なデータを得られます。「広告向け機能」を有効にすると、ユーザー属性などを判断できます。
3-3. Google広告 ブランド効果測定サービス
広告についての「認知・理解・ブランディング・想起」など、アナリティクスでは測れない効果の測定ができます。
現在このサービスは営業経由で申し込む必要があり、オンラインからは申し込みできず多額の出稿をしている広告主向けですが、広告効果を測定するために有効なサービスです。
- 広告の再生回数によって、どんな効果があったか
- 商品やブランドの検索にどうつながったのか
- ブランド認知度がもっとも伸びたユーザー属性はどこか など
これらをターゲットごとにアンケートを表示させ、測定します。
4. 効果的なYouTube広告制作のポイント
4-1. 5秒で伝え、興味や共感をひきつける
スキップされないためには、「続きが見たい」と思わせることが重要です。ユーモアさもポイントになります。
4-2. ユーザーに次の行動をうながす
動画を見てもらうだけでなく、購入などにつながるWebページへアクセスしたくなるような工夫が必要です。
4-3. YouTube限定のプロモーションの実施
人気YouTuberやクリエイターとのコラボや、季節などのビッグイベントに関連した動画も効果的です。SNSでのシェアなど誰かに教えたり自慢したりしたくなる動画にすることも重要です。
Googleが2015年に16 か国 11 業種のTrueView 広告を分析した結果では、こんな報告がされています。
◇プラスの効果をもたらすもの
- ストーリー性(ユーモア系、サスペンス系、感情に訴えかける動画)
- 顔(女性、子ども、笑顔、見慣れた顔)
- アニメーション
◇注意したほうがよい表現
●最初の5秒間のロゴ表示は慎重に
ブランド想起効果は高まるものの、総再生時間が短くなる傾向。ロゴ入り商品を映すだけの広告は、受け入れられやすい傾向
●音楽により効果に差
ハッピーな音楽・ミステリアスな音楽は視聴完了率の向上につながる傾向。ただリラックス系・アクション系の音楽はスキップされる傾向
●スライドショーの表現
スライドショー形式の文章を載せると、ブランド効果にマイナスイメージを与える場合あり
4-4. ターゲティング
どんな人へ配信するか?は特に重要です。少しでも対象がズレると、広告効果に大きく影響します。様々なターゲティング条件(トピック、インタレストカテゴリ、リターゲティングなど)を検討し、しっかり考えた上で狙ったターゲットへ配信します。
5. YouTube広告を出稿する手順
5-1. 出稿の準備
- 広告動画を作成し、YouTubeにアップする
- フォーマットを把握する(TrueViewインストリーム広告またはTrueViewインディスプレイ動画広告)
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)を知る
GDNとはGoogle関連サイト(Gmail、Google Maps、YouTubeなど)やAdSenseを購入しているサイトなどのことです。次の「キャンペーン」掲載ネットワークの設定から、YouTube検索、YouTube動画、にも広告掲載するかどうか選べます。
5-2. 広告キャンペーンを設定する
AdWords アカウントの「キャンペーン」タブから、予算や配信方法、掲載スケジュール、ターゲット地域やデバイス、掲載ネットワークを設定します。
5-3. 広告を作成する
アップしておいた動画広告を指定し、フォーマットを選択します。性別や興味などの細かいターゲットや単価を設定します。
ひと通り設定したら注文します。
広告グループを保存→注文確定、審査スタート(約1営業日以内)→CTAオーバーレイを動画に設置する(無料)
まとめ
- 広告料は興味あるユーザーが再生したときのみのTrueView広告で、大きな効果を出せる可能性がある
- ただ、ターゲティングのズレや動画内容に問題があるとマイナス効果になることも
- YouTubeアナリティクスなどを活用し、改善していく
スマートフォン利用がどんどん増え、インターネット動画広告はさらに注目度が上がるでしょう。モバイルから見ても興味を持てる動画制作がポイントです。