動画プロモーションの気になる効果と測定の指標とは?

インターネットをしていて、動画を使ったコンテンツや広告を目にすることが増えています。

 

人の心を動かす動画には短時間にたくさんの情報を伝えられる、インパクトある表現ができるなど人をひきつけるメリットが多数ありますが、実際にどれくらいの宣伝効果があるのか? という点が気になります。

 

動画プロモーションの効果を知ることで、次のマーケティング方法の参考にできます。動画の効果についての調査や評価基準、評価のポイントを紹介します。

1. 動画が「効果あり」と答えた担当者の割合は?

株式会社エコンテが2014年にコンテンツマーケティング担当者600名へおこなった「コンテンツマーケティング調査レポート」(エコンテ実施)では、担当者の5人に3人は「動画マーケティングを実施して成果があった、と認識している」という結果がでています。

 

まず、下記の「コンテンツマーケティングで取り入れている手法は?」という調査では、5番目に「動画」(27.8%)となっており、「その中で効果があった手法は?」についても同じような順番で続き、動画は16.8%になっています。

ただ、このうち「効果があった」と評価された割合を算出すると「ソーシャルメディア」(78.9%)、「自社ブログ」(71.3%)、「動画」(60.4%)という順になり、動画の順位が3番目に上がっています。

 

またアメリカでおこなわれた2013年の調査では、60%のマーケティング担当者が2年連続で「動画マーケティングは効果的」と回答しています。

2. 動画プロモーションの効果測定の指標は?

アメリカのWeb動画制作会社318社へおこなった、2014年の調査「Web動画制作に関する調査および業界動向レポート」では、「参考にしている効果測定の指標」についての結果がでています。
(動画マーケティング調査機関The Web Video Marketing Council実施)

この結果では、「獲得したセールスリード」(見込み客や問い合わせ・閲覧数)がトップ、その次に「売上高に与えた影響」「再生数」と続きます。

 

この結果から、効果指標について次のことがわかります。

  • 実際の売上や再生数以上に、見込み客の獲得といった、次につながる潜在的な成果を効果指標とする制作会社が多い
  • ユーザーの反応をすぐに確かめられるSNSのシェア数も重要な参考情報

3. 静止画→動画に変更でCVRが86%アップ

Webサイトに静止画または動画を載せた2パターンで実施したABテストでは、動画のほうのCVR(申込み・問い合わせ率)が向上した、という結果が多数でています。

 

※A/Bテストとは?
2パターンの異なるWebページを、実際にユーザーに利用させ効果を比較するテスト

3-1. 事例 オンライン家庭教師サイト「TutorVista」

Webサイトの申込みボタン横の部分について、写真と動画でABテストを実施

 

A:イメージ画像を掲載したページ
B:初回のみ自動再生される動画を掲載したページ

 

→その結果、Aに比べてBのCVRが86%も上がりました。

出典:http://www.eyeviewdigital.com/
出典:http://www.eyeviewdigital.com/

3-2. どちらの動画の効果が高いといえるか?視聴時間の重要さ

同じ商品の3分間の宣伝動画を2パターン配信し次のような結果になったとき、どちらの動画が効果ありと判断しますか?

 

  再生数 平均視聴時間
動画A 20,000回 8秒
動画B 150回 3分

 

このようなとき、再生回数だけみると動画Aのほうが効果あり、と思いがちです。しかし視聴時間を含めて数字を見ることで、再生回数だけではわからない部分が見えてきます。

 

冒頭のみでは効果を伝えられない動画の場合、動画Bのほうが効果あり、と判断できます。

3-3. ABテスト効果的な実施のポイント

ABテストは動画プロモーションの効果測定・改善のために、様々な活用ができます。

◇テスト例

●動画の内容、構成や演出を変える(クリエイティブテスト)

異なるパターンの動画をいくつも制作するのは大変ですが、最近は低い制作コストでもしっかり動画を作れるサービスがあります。また業界によってもかかるコストに差があります。

 

●文言やサムネイル画像を変える

タイトルや紹介文、CTA(問い合わせ)ボタンの文言など、ちょっとしたことと思われがちですが、工夫することで問い合わせ増の可能性があります。

 

●配信メディア、ターゲットを変える

異なるメディアや広告として配信する場合、ターゲットを変えることで比較できます。

◇テスト実施のポイント

●動画プロモーションでの目標をはっきりさせる

動画を使って購入や問い合わせにつなげたいのか、または企業のイメージアップをしたいのかなど、最終的に達成したい目標からずれないようにします。

 

・CV(購入・問合せ)獲得が目標
まず商品に興味をもたせ、ユーザーメリットをはっきり伝える(詳細はサイトで)

 

・知名度アップが目標
ブランド名を目立たせ、記憶に残す

 

・ブランディング(イメージづけ)が目標
世界観やイメージが伝わるメッセージを表す(抽象的なものもあり)

 

●比較内容を1つに絞る

比較する内容が複数あると、どれが影響してその結果になったのかわかりません。1つの部分のみを変えたテストが効果的です。

 

●ターゲット選定をしっかりおこなう

動画を配信するのは自社を知らない人orリピーターなど、視聴者によって反応は変わるので、テスト配信するターゲットをしっかり設定します。

 

またABテスト実施時も、視聴ターゲットの設定を見誤らないようにする必要があります。

4. 動画ありの有料アプリはダウンロード数が多い傾向

スマホの「有料ゲームアプリの紹介動画」でダウンロード数は増えるのか?という調査では、次のような結果が出ています。
(対象:Google Playの「人気のゲーム(有料)」カテゴリ内に掲載のアプリ各月480本、2013年)

出典:http://www.movie-times.tv/statistics/2757/
出典:http://www.movie-times.tv/statistics/2757/

50万以上のダウンロードについて

 

動画掲載ありのアプリ:8.6%
動画掲載なしのアプリ:0.6%

 

このように動画ありのアプリには、動画なしよりも多数のダウンロードがあることがわかりました。

 

また、動画なしのアプリが途中から動画を掲載した場合では、11本中7本のアプリが動画掲載後に順位を上がったという結果が出ています。

 

スマホアプリのような販売場所が限られている商品では、「ライバルとの差別化に動画が有効」ということがわかりました。

5. 効果を上げるための最初の5秒の使い方

5秒後にスキップできるYouTubeのインストリーム広告では、最初の5秒でどう引き込むか? が特に重要です。

5-1. サービス内容、メリットをはっきり伝える

スキップされてしまったとしても、5秒で商品の特長や使うことのメリットを伝えられれば、その後につながる可能性があります。スピードのある展開で引き込み、最後まで見せきる方法もあります。

5-2. ターゲットを選定し呼びかける

該当するターゲットに向けた動画にすることで、対象者に当事者意識をもたせ、続きを見せます。

5-3. 続きが見たいと思わせる

何がはじまるのか、どんな結末になるのか気になるようじらしをもたせる内容にする方法です。

◇スニーカーで「パスタテスト」?(アシックス)

スニーカーの通気性の良さをアピールするため、パスタとスニーカーというユニークな組み合わせの実験で最後まで見たくなる動画になっています。

6. メディア別 動画配信のメリット・デメリット

それぞれメディアやSNSごとにユーザー層や特徴が異なります。商品に合った配信方法選びが重要です。

 

  国内ユーザー数(2016年4月)
YouTube 4,924万人
Facebook 2,215万人
Twitter 2211万人
Instagram 1,092万人

 

▼参考サイト
http://www.netratings.co.jp/news_release/2016/05/Newsrelease20160531.html
http://www.netratings.co.jp/news_release/2015/02/Newsrelease20150224.html/

6-1. YouTube

☆ 利用が向いているケース

  • 動画広告を長期的に配信したい
  • 動画をしっかり見せたい
  • 大規模なキャンペーンをする場合

★ デメリット

  • 強制視聴によるイメージダウンの可能性

6-2. Facebook

☆ 利用が向いているケース

  • 配信対象を細かく設定したい
  • 手軽な金額から出稿したい

★ デメリット

  • 音声や長さのある作り込まれた動画をしっかり見せづらい

6-3. Twitter

☆ 利用が向いているケース

  • ツイート内容から興味を特定など、独自のターゲティングができる
  • スマホユーザーにPRしたい
  • テレビを見ながらのツイートも多く、テレビもうまく利用したい

★ デメリット

  • 音声や長さのある作り込まれた動画をしっかり見せづらい
  • 強制再生によるイメージダウンの可能性

6-4. Instagram

☆ 利用が向いているケース

  • 20~30代女性、スマホ利用者向けのPRをしたい
  • 1,000円~出稿できる
  • 配信期間、予算設定を自分で調節できる

★ デメリット

  • 音声や長さのある作り込まれた動画をしっかり見せづらい
  • 年齢が高いほどユーザーは少ない、企業向け商品などは向かない

6-5. 動画制作が難しいときは?

動画広告の1番の目的は、「商品の魅力を伝える」ことです。凝った動画でなくても、商品の魅力をしっかり表現できていれば、効果につながります。

 

静止画をつなげたスライドショーやスマホで撮影した動画でも、良いものはしっかり視聴者に響くでしょう。

まとめ

  • コンテンツマーケティングで動画の効果が重視されている
  • 「最初の5秒」が需要
  • 再生回数も重要だが、視聴時間ももっと重要な指標

 

動画プロモーションの効果はどんどん注目されはじめており、様々な企業が実施をこころみています。

 

コンテンツマーケティングが主流の時代、これからは動画マーケティングの「戦略」が特に重要になります。SNSの活用やテレビCMとの併用、有名人とのコラボなど、動画の質はもちろん、動画をどう出してどのように見せていくか、という部分の影響は大きいです。


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