ネット上で企業の宣伝動画をよく見かけるけど、実際に効果ってあるの? このように感じたことのある方は多いと思います。
動画を使ったマーケティングで、実際に成功した企業の事例は多数あります。商品の購入やサービスの申込み、コンバージョン率、問合せ、Facebookのファン数増加などにつながり、メディアでも取り上げられ話題になった動画について、制作の経緯と動画の内容、配信後の結果を紹介します。
自動車会社であるメルセデス・ベンツ日本は、人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」とのコラボ動画を配信し、話題を集めました。
◇30代に親しみのあるスーパーマリオブラザーズとコラボし、興味をもたせるようにした
新発売する車(GLA)のターゲットである40才以下の人が、メルセデス・ベンツに対し「高価で手をだしにくい」というイメージをもっていたため、誰もが知っているマリオを起用しました。
ヘアケア商品を主に販売するL’OREAL では、Kerastase Parisというヘアトリートメント商品の販売プロモーションに動画を取り入れました。
オンラインでは良さを知ってもらいにくいこの商品について、ハウツー動画を使ってその問題を解決することで、売上を伸ばすことに成功しました。
対象が高価格商品なので、使用方法の説明が必要でした。今までは店頭販売がメインになっており、これがオンライン販売の妨げになっていました。
そこで、商品の使用方法や解説を店舗で実際に受けているように丁寧に説明する動画を作成しました。
自動車メーカーの日産では、ありふれていると思われがちな車についての情報を、ワクワクするようにアレンジして配信し、話題を集めています。
◇車の興味が低い層(若者や女性)向けのプロモーション型コンテンツとして、動画を配信
既存のファン層へは車についてのネタをFacebookへ投稿し、ターゲットごとに異なるコンテンツを配信しました。
◇「30日間“DAYS”に乗ったら、買いますか?」
女性7人が30日間日産の車に試乗し、誰が買うのか予想、的中させたユーザーへ車をプレゼントするという企画動画です。
◇「クルマがあればモテるのか?」
『http://www.nissan.co.jp/SOCIAL/CAMP/MOTE_NOTE/』 モテない男性が日産の車を持ち、女性とデートをするというありそうでなかった実験動画です。
最も目に見える成果として、Facebookのファンが8万人→963万人(2014年)と大幅に増加(トヨタ:18万人、ホンダ:332万人)
◇家ではなく、そこに住む「家族」にスポットを当てた動画を配信
「家と家族に関するエピソード」を募集し、入賞作品を元にCM動画を作成しました。誰もが経験したような感動的なストーリーを、リアルなユーザー視点である投稿作品で作成したことで、多くの人を惹きつけました。
スキップされやすいYouTubeのCMにもかかわらず、150万再生回数を記録
ダスキンの家族介護支援サービスでは、静止画では伝わりにくく、実写では生々しくなってしまう内容を、アニメのストーリー動画にして配信し、問合せ件数がアップしています。
◇ターゲットの40~60代女性へ向けたインターネットでのプロモーション
このサービスはBtoBで一定の成果をあげていたものの、一般への認知が低かったため、ターゲットへ直接アプローチできるインターネットでの宣伝を考えていました。
◇実写ではリアルすぎてしまう内容をアニメでソフトに表現
サービス内容や認知症、家族介護の辛さをアニメでわかりやすく伝え、サービスをすぐに理解できるようにしました。
アニメーション動画でのマーケティングでは表現の幅が広く、エンタテイメント性が高いです。ストーリー性もつけやすいので、興味をもってもらいやすいメリットがあります。
韓国の下着メーカーVIVIENは、若者をターゲットにしたFacebook動画広告を配信し、若年層向けの下着ブランドというイメージ一新に成功しました。
動画内で商品やブランドの宣伝はせず、ターゲットである20~30代の女性を惹きつけることのみを目的にした動画を作成しました。
メキシカン料理を提供するChipotle(チポトレ)は、食品製造業の悲惨な現状といった、加工食品のマイナス面についての胸が痛むストーリー動画「The Scarecrow(かかし)」を配信し、多くの人の関心を集めました。
地元の信頼できる生産者の食材を使い、優れた食品を提供している、というチポトレの企業理念についてのメッセージが、動画に組み込まれています。
企業中心ではなく、顧客中心の視点で考えた内容を盛り込んで作られています。「より良い食品でより良い世界を作る」といった、マーケティングだけでなくメッセージを伝えることに重点が置かれています。
アメリカ・シカゴの法律事務所レーヴェンフェルド・パールスタインは、所属弁護士に自身のプロフィールや人生ストーリーがわかるような質問をした紹介動画をサイトにアップすることで、差別化に成功しました。
◇弁護士の人柄がわかる紹介動画を作成
パールスタインでは、自社サイトで1番アクセスの多いページが「所属弁護士のプロフィールページ」であることをGoogleの分析で知りました。このことから、顧客は「どんな弁護士を雇えるか確認できるページ」を重要視している、ということに気づき、弁護士の紹介動画を作ることにしました。
そこで、よくある普通の動画ではなく、弁護士には通常聞かないような質問(「小さい頃の夢は?」「あなたの1番大事なものは?」など)をして、それに答える弁護士の様子を撮影した動画を作りました。
このような動画は、弁護士のような専門職ではめずらしいものでした。業務とは関係ないようなことまで答えさせることで、弁護士の人柄がわかるような紹介動画が完成しました。
◇数ある他の法律事務所との差別化に成功
動画にユニークな形でスタッフを参加させることでそれぞれの個性をはっきりさせ、人間味にあふれ近づきやすい事務所としてのイメージを獲得しました。
◇配信プレイヤーの大きさとコンバージョンの関係を検証
足のヘルスケア商品を販売するアメリカのFootSmart社は、商品の効果(足の痛み軽減など)を紹介するとき、画像や説明文では機能を伝えきれないことがネックになっていました。
そこで商品の紹介&ハウツー動画を作るだけでなく、配信プレイヤーの大きさに注目し、「プレイヤーのサイズがコンバージョンに影響するか」について検証しました。
FootSmartの商品紹介動画一覧(http://www.invodo.com/clients/)
アメリカの舌クリーナー「Orabrush」は、大学院生が制作費たった500ドルで作った動画で結果を出し、高予算でプロが作った動画でなくても、たくさんの人に見られることを実証しました。
パソコンメーカーVAIOは、新商品「VAIO S11」の発売キャンペーンとしてメインターゲットの30~40代の男性向けに「VAIO開発部 手塚の1日」というビジネスマン向けの動画シリーズをFacebook中心に展開し、広告費用対効果や認知度アップに成功しました。
成功した動画マーケティングの事例には、つぎのような特徴があります。
「ユーザーに自社製品に興味をもってもらうためには、どうすればいいか?」常にユーザーの視点で考えることが重要です。
テレビ離れが進む今、時代に合わせて企業も情報発信の方法を変化させる必要があります。単なるコマーシャルではなく、SNSでの口コミによる拡散も視野に入れたマーケティングがポイントになっています。