動画広告の市場規模は2012年に50億円規模でしたが、2015年には501億円を達成。じつに3年で10倍の急成長となりました。
市場規模は今後も拡大をつづける見通しで、動画広告はいま非常に注目されている宣伝手法です。この動画広告市場のデータと、利益を上げるために押さえておきたいポイントを解説します。
これほどまでに急成長している動画広告市場の変遷や、スマートフォンのユーザーはどういったコンテンツを利用しているのかなどを解説します。
若年層のテレビ離れの傾向から、各企業はテレビCMからインターネット上の動画広告に目を向けはじめました。
また、スマートフォン普及率の上昇にともない、日常的に動画コンテンツを視聴する人口も増加しています。こういった背景から、動画広告の市場が急成長してきていると考えられます。
グラフで掲載している各広告商品については、以下のとおりです。
YouTubeやニコニコ動画などの動画サイトにおいて、大画面で表示される動画広告のことです。そのうち、動画の再生前などに表示されるものは「プリロール動画広告」と呼ばれます。
WEBサイト・アプリなどでコンテンツとコンテンツのすき間に表示される広告のことです。
従来、バナー広告枠となっていた部分に表示される動画広告のことです。
2015年のデータでは、インストリーム広告が全体の7割を占める結果となっています。動画コンテンツの需要が高まるなかで、動画サイトの再生前に流れる広告はとくに見てもらいやすい部分といえるでしょう。
スマートフォン・タブレットの利用目的を見ても、「動画コンテンツ」は非常に利用者の多いコンテンツだということがわかります。つまり、動画広告は時代にマッチした宣伝手法といえるのです。
アメリカの動画マーケティング会社「adform」が公表したデータ「DIGITAL ADVERITISING BENCHMARK REPORT」によれば、広告のクリック率はつぎのとおりです。
まず、デバイスごとの広告バナークリック率を見ていきます。
このように、広告のクリック率でもっとも高いのが動画広告です。パソコンの一般的なバナー広告の約4倍、スマホ広告の約1.5倍という数値になっています。
つづいて、どのような業種の広告が多くクリックされたのか見ていきましょう。
このように、一番クリック率が高いものは趣味・興味のジャンル。0.82%という数字になりました。次いでショッピング、ビジネスになります。やはり、趣味や生活に直結するものがクリックされる傾向にあるようです。
これら2つのデータから分かるように、一般的なバナー広告と比較して、動画は圧倒的にクリック率が高いです。テキスト広告や静止画のバナーで効果が弱かった場合も、動画にすれば反応率が上がる可能性があるといえるでしょう。
広告の動画制作をするポイントは「何(メッセージ)を誰(ターゲット)に伝えたいか」をしっかりと決めることです。方向性を決定することで、より特定のターゲットに刺さる動画にすることができます。
「何(メッセージ)を誰(ターゲット)に伝えたいか」を設定したら、テーマを1~5つ程度(広告の時間によって増減します)にしぼってください。
3分ほどの広告動画だと、多くても2つほどに設定するとちょうどよいです。また、一番伝えたい事は冒頭に持ってきて時間を長めにします。
メッセージ(主要素)を直接文字としてのせる場合は、「読みやすい字体になっているか?」「適切な文字サイズか?」などチェックし、メッセージと関わりの深い動画や写真(副要素)をのせていきます。
動画に声としてメッセージを盛り込む場合、聞き取りやすいかどうかは何度も確認してください。明瞭でない場合は、何度も取り直していく事が重要です。
この部分をおろそかにすると、広告としての効果も価値も薄れてしまいます。
動画演出としては、視覚効果(エフェクト)は多用せず、動画のつなぎ目のタイミングに重点を置きます。
エフェクトを多く盛り込みたいなど、インパクトのある広告動画制作をおこないたい場合は、広告の時間を短くします。これにより、メッセージがエフェクトでぼやけることを防ぎます。
動画制作のポイントは「誰に伝えたいか」で変わってきます。基本的には男性向けなら男性を、女性向けなら女性を動画に起用していきます。
そのほかに年齢・地域などもターゲットに合わせていった方が、より伝わりやすくなります。
前項では、動画広告を制作するうえでの基礎になる部分を紹介しました。つづいて、視聴者の印象に残る動画にするために注意したいポイントを解説します。
そもそも動画広告の視聴者は、自らの意思で観るわけではありません。「観たい動画を再生しようとしたら流れた」とか「ニュースサイトを見ようとしたら表示された」など、ほかの目的から目に入るケースが非常に多いです。
前提として、広告の動画制作では「何を宣伝している広告動画なのか」をはっきりする必要があります。しかし、宣伝色の強すぎる動画だと印象に残りにくく、場合によっては不快感さえ持たれかねません。
そこで、「観た瞬間にインパクトを与える」「宣伝色が強すぎない」バランスのよい動画が求められるでしょう。
動画広告に求められるのは、「短い時間でインパクトを与える」内容です。宣伝動画というのは、誰の目でも瞬時にわかります。それを疑わせないで娯楽性を持ち、宣伝もするというのがベストなのです。
くどい演出であればすぐにスキップされるでしょう。最後まで見てもらうためには、演出も必要です。視聴者の目をくぎ付けにするような演出を心掛け、さりげなく宣伝をする動画制作をするようにしましょう。たとえば、つぎのような動画が挙げられます。
前項では「短い時間でインパクトを与える」動画の例を紹介しましたが、このような動画を素人がイチからつくるのは非常に骨が折れます。
大衆が求めるものに「何がよくて何が悪い」はありません。そして、川の流れのように留まらず流動的です。この部分はテクニックが必要になるので、制作会社のセンスに委ねるという手もあります。
そのような動画制作を求めているのであれば、実績ある制作会社に依頼するのが一番です。実績を持っている制作会社はセンスを大切にしています。広告動画で利益を上げたいのであれば、動画自体にセンスが求められますので、実績を大切にして選ぶようにしましょう。
データで見ると、動画広告市場の爆発的な成長がお分かりいただけたのではないでしょうか。最近は、スマホでも手軽に動画を撮影・編集して配信できるようになりました。しかし「よく構成を考えずに撮影・編集した動画」を利益につなげるのは非常にむずかしいです。
それには、「視聴者の印象に残るような動画」を制作→適切な場所で配信→反応を見て次につなげる・・・という「PDCAサイクル」の実践が不可欠です。これがうまくいけば、成長をつづけている動画広告市場の恩恵を最大限に受けることも不可能ではないでしょう。